桜井製作所

1台でマシニングセンター3台分相当の高速多軸ヘッド加工機を開発(2)

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高速タイプのボールネジ採用等でサイクルタイムを大幅短縮

桜井製作所の多軸ヘッド加工機全体の販売実績は500台程度である。今回開発した高速CUBICは、従来の標準CUBICを改良した装置である。高速化するための主要改良点は三つある。第一点はヘッドのFeed Unit部の移動に必要なボールネジを高速タイプに変更したこと。これにより移動速度を20m/minから30m/minに上げることができた。空削りを行うエアカットまでの移動距540mmの場合で、従来1.62秒かかっていたサイクルタイムを1.08秒に短縮できた。これにより3ショットの場合のエアカット時間を9.72秒から6.48秒に短縮できた。第二点はC軸ギアボックスのモータの回転数を上げた事により、3ショットヘット交換時のサイクルタイムを1.45秒短縮したことである。

第三点は多軸ヘッドを高速回転仕様に切り替えたこと。従来2000rpmだった回転速度を10000rpmと高速化した。これにより、ドリル径6.5φ、1回転当たりの送り0.2mm、切削深さ30mmの条件でサイクルタイムを4.5秒(主軸回転数2000rpm、送り速度400mm/min)から1.8秒(主軸回転数5000rpm、送り速度1000mm/min)に短縮できた。3ショットの加工で比較した場合13.5秒が5.4秒となった。こうした改良により高速CUBICは従来機と比較して、全体でサイクルタイムを12.79秒短縮できた。

桜井製作所の多軸ヘッド加工機は4ヘッドの製品と7ヘッドの製品がある。いずれの装置も加工時に3t~4tの重量を持ちヘッド全体を移動させるタレット式ではなく、ひとつのヘット装着している1t以下のFeed Unit部だけを移動させる形式をとる。このため、耐久性に優れ、電力消費も抑えられる。また専用部はヘットだけであり、本機は汎用機として繰返し使用が出来る特徴を持つ。

ドラマ「下町ロケット」に登場する高精度、精密加工部品を提供

桜井製作所は約46%が工作機械部門の売上で、残り約54%が部品加工部門の売上だ。同社の製造する高度な工作機械を活用して、高精度な部品が製造される。その一つにターボチャージャーのタービン動翼(インペラー)がある。実はこのインペラーは、平成27年10月TBSで放送された池井戸潤氏原作の「下町ロケット」の一場面に登場した。主人公が経営する精密機械製造業の中堅企業佃製作所が大手競合他社に特許訴訟を仕掛られる。佃製作所社長佃航平(阿部寛)とその社員は、弁護を依頼する弁護士神谷修一(恵俊彰)の事務所を訪れる。その際に神谷修一が手にした佃製作所製部品が桜井製作所製造のインペラーである(図2)。ドラマの中では「それはうちしかできない切削研磨技術により開発に成功しました。その均一な厚さを実現するのに切削研磨装置の開発から行い、製品を作り上げるまでに2年は費やしました」といった会話が交わされている。

ドラマでは中堅企業が日本の最先端のもの作りを支える姿が描かれている。桜井製作所も、そうした中の1社であると言えよう。

図2●桜井製作所の工作機械の性能と高度な加工技術を示すサンプル品

図2●桜井製作所の工作機械の性能と高度な加工技術を示すサンプル品
左から2番目がTBSドラマ「下町ロケット」で登場したインペラー

(株)桜井製作所 「高速CUBIC」&工機部各種製品/技術説明資料

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