桜井製作所

1台でマシニングセンター3台分相当の高速多軸ヘッド加工機を開発

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工作機械メーカーの桜井製作所(静岡県浜松市)は、1台でマシニングセンター3台分に相当する能力を実現できる高速多軸ヘッド加工機「高速CUBIC」を開発した(図1)。同装置は最大30本程度のドリル・タップ・リーマ・ボーリングホルダー等を装着したヘッドを備えることが可能で、一度の加工で複数の穴開け加工を実現できる。1本のTOOLをX軸、Y軸、Z軸方向に動かして複数の穴開け加工を行うマシニングセンターと比べ、高速CUBICは短時間で複数の穴開け加工を行える。

「月間3万台製造する車種があるとする。サイクルタイムは1分を切らなければならない。仮に一つのトランスミッションケースの加工に20分かかるとすれば、同じファンクションのマシニングセンターを20台並べることが必要だ。高速CUBICを使えば装置台数を1/3程度に抑えることが可能である」と、同装置の開発を担当した桜井製作所取締役の市川彰氏(写真)は高速多軸ヘッド加工機導入の利点を強調する。

図1●1台でマシニングセンター3台分相当の高速多軸ヘッド加工機「高速CUBIC」

図1●1台でマシニングセンター3台分相当の高速多軸ヘッド加工機「高速CUBIC」

現在、自動車産業をはじめとする生産ラインでは、工程数を削減したり、工程を集約したりして生産効率を高めるコンパクトラインが注目を集めている。日経テクノロジーオンラインによれば、本田技研工業やトヨタ自動車では従来と比べて40%も短い生産ラインや、58%も設置面積を減らした生産ラインが登場している。こうしたコンパクトラインを実現するには、設置面積を増やさずに加工時間を短くできる高速多軸ヘッド加工機の導入が有効である。

加工精度が高く、しかも低消費電力

写真●高速多軸ヘッド加工機<br>「高速CUBIC」の開発を担当した<br>桜井製作所取締役の市川彰氏

写真●高速多軸ヘッド加工機「高速CUBIC」の開発を担当した桜井製作所取締役の市川彰氏
手に持っているのはTBSドラマ「下町ロケット」で登場したターボチャージャーのインペラー

高速CUBICの利点は、加工時間が短く、設置面積が少なくなるだけではない。一度に多くの穴開けするため、比較的低速でドリルを回転し、ゆっくり加工できるため高速回転に必要なダイヤモンド工具などの高価なツールは必要ない。サイクルタイムを短くするため、ヘッドを急加速、急減速する必要もなく、消費電力も低く抑えられる。また、ヘッドをX軸、Y軸、Z軸方向に移動させて加工位置を決定するマシニングセンターでは、ヘッドを移動させる度に位置を計測しなければならない。このため位置決め精度が直接、加工精度に影響する。多軸ヘッド加工機なら、多軸ヘッド上のスピンドルのピッチ間隔で加工する穴と穴の間隔を決められる。このため安定的な繰り返し加工精度を実現できる。このほか、ツール交換時のテーパシャンク部への切粉噛みがないため、ボーリング/リーマ等の高精度仕上加工時に径大不良が発生しない。

多軸ヘッド加工機にも弱点はある。価格が高いことである。1台当たりの価格はマシニングセンターの2倍以上になるという。「2倍以上というとビックリするユーザーも多いが、多軸ヘッド加工機の利点を評価するユーザーもいる。そうしたユーザーは多品種少量ラインか、少品種の大量生産ラインかによって、マシニングセンターのような汎用機を使うのか、それとも多軸ヘッド加工機のような専用機を使うのかを選択しているようだ」と市川氏は言う。

(株)桜井製作所 「高速CUBIC」&工機部各種製品/技術説明資料

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