ファルマバレーセンター

医療機器開発で成果 入居企業、医療機関の連携で歯周ポケット測定器を開発

オープンイノベーションへの取り組み

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医療健康分野におけるオープンイノベーション拠点として、2016年9月にオープンした「ファルマバレーセンター(静岡県医療健康産業研究開発センター)」の入居企業による技術開発・製品化が順調に進んでいる。医薬品の製剤化技術や歯周ポケットの測定器などの開発が進み、入居企業と医療機関等の連携に弾みがついている。

地域連携のハブとなり新技術・製品の開発を目指す

同センターは、「①リーディングパートナーゾーン」「②地域企業開発生産ゾーン」「③プロジェクト支援・研究ゾーン」の3つのゾーンで構成され、テルモやリコー、サンスターといった大手企業の他、地元企業が入居している。医療機器メーカーや製薬企業のOBを中心に地域連携コーディネータを配置し、入居企業、地域企業と静岡がんセンター、大学、研究機関等との交流・連携を通じた技術開発・製品化を推進している。静岡県は同センターをハブ拠点に、県内企業が自動車や産業機械など、ものづくり産業で高めた技術力を医療分野に応用し、新技術や製品につなげる狙いだ。

例えばリコーは、静岡県立大学と共同で自社のインクジェット技術を医療分野へ展開している。インクジェットヘッドから、非常に細かな液滴を高頻度で噴射した後、超高速で乾燥させるFDD(Fine Droplet Drying)技術を開発。従来のスプレードライ技術では難しかった微細で均一な状態に薬剤を製剤化することが可能で、吸入製剤など医薬品への応用を進めている。

地元企業同士の連携で歯周ポケット測定器を開発

静岡県が成功モデルとして期待するのが、地元企業同士の連携による医療機器の開発だ。電子制御装置の製造、プリント基板の実装組立を主力とする深澤電工は、ヤザキ工業と連携して、同社初の医療機器「歯周ポケット測定器」(図1)を開発した。歯周病や虫歯などの歯科診療において広く行われている歯周ポケットの測定に使う。

図●歯周ポケット測定器のシステム構成(上)と試作品(下)
図●歯周ポケット測定器のシステム構成(上)と試作品(下)

図●歯周ポケット測定器のシステム構成(上)と試作品(下)

「歯周ポケットの測定は、歯と歯肉の間に器具を差し込むので患者は痛みを感じやすく、測定者によって検査数値にバラつきがあるといった課題が指摘されている。測定と記録の2名のスタッフが必要で、歯科医院の負担も大きかった。低侵襲かつ省人化につながる測定器が求められていた」(深澤電工代表取締役社長の深澤好正氏)。

今回開発した測定器は、一定荷重をかけて歯周ポケットにプローブを差し込み、その深さを電気的に計測する。歯周ポケットへの圧力を適切に調整でき患者の負担を軽減できる。従来の目視に頼っていた方法に比べ、短時間で正確に測定でき、記録も自動で行われるので省人化を可能にする。

静岡県ファルマバレープロジェクト説明資料

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