ファルマバレーセンター

医療機器開発のオープンイノベーション拠点、静岡県のファルマバレープロジェクトの新たな拠点施設が今秋本格稼動(2)

オープンイノベーションへの取り組み

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下請け企業から脱却し、医療機器メーカーとして業容拡大

静岡県の地域企業として地域企業開発生産ゾーンに入居するのが東海部品工業だ。同社は、自動車部品製造で培ったネジ技術を医療機器に展開。2004年にファルマバレープロジェクトに参画し、整形外科領域で使われる人工関節や骨固定器、手術時の洗浄システムなどを実用化(図3)。国内メーカーへのOEM供給の他、自社ブランド製品を販売しており、下請けメーカーではなく、医療機器メーカーとして業容を拡大してきた。
「骨折治療に用いられる骨接合材料や人工関節は90%以上が輸入品。日本人の体形や症例に合わない製品も多く、医師や患者に必要以上の負担を強いている。高齢化に伴い需要の高まりは確実視されており、国産品の提供が望まれている。将来的には、日本人と体型が似ているアジア諸国への輸出も視野に入れるが、まずは5年をメドに1300億円と言われる国内市場のシェア3%を目指す。今回の入居をきっかけに技術連携だけでなく、薬機法や知財への対応力、販売ネットワークを強化し、医療機器メーカーとして作る力と売る力を鍛えていきたい」と東海部品工業天城工場長の平野光輝氏は話す。

図3 東海部品工業が製造する医療機器

図3●東海部品工業が製造する医療機器
人工関節用インプラント(左)、整形外科手術用洗浄システム(右上)、頭蓋顎顔面・脳外科用プレート(右下)
(出所:東海部品工業)

単なる“箱もの”に終わらせない仕組みづくり

プロジェクト支援・研究ゾーンには、オリンパステルモバイオマテリアル、サンスター、リコーの他、深澤電工、サイダ・FDSといった地域企業が入居する。また、薬機法や知財に関するコンサルタント企業も入居し、中小企業の弱点である知財戦略や規格対応を支援し、事業化を促進する。

具体的な共同開発や連携事業などは、今秋以降に本格化すると見られるが、静岡県では、単なる“箱もの”に終わらせない仕組みづくりに力を入れる。「入居企業とがんセンター、県内大学、研究機関等との交流・連携の促進に向け、医療機関や製薬企業のOBを中心に7名のコーディネーターを配置し、技術交流会や研究成果発表会などを積極的に企画していく」(渡辺氏)という。オープンイノベーションを通じてものづくりの“化学反応”を起こすために、人と人をつなぐコーディネーターを最大限活用する狙いだ。

折しも、5月31日には医療機器政策に特化した初の基本計画が閣議決定された。実施すべき施策として「医療機器開発関係者の相互協力を推進」を明記。「医療分野の産業化の促進、医療ニーズを見出す人材育成、医療人材と機器開発人材の交流」の必要性を明示した。

(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)

■入居(予定)企業

1.リーディングパートナーゾーン

企業名 所在地
テルモ㈱ 東京都渋谷区

2.地域企業開発生産ゾーン

企業名 所在地
東海部品工業㈱ 沼津市

3.プロジェクト支援・研究ゾーン

企業名 所在地
オリンパステルモバイオマテリアル㈱ 東京都渋谷区
サンスター㈱ 高槻市
深澤電工㈱ 駿東郡長泉町
オフィス長谷川(合) 横浜市
特許業務法人樹之下知的財産事務所 東京都杉並区
㈱サイダ・FDS 焼津市
㈱ハヤブサ 富士宮市
ヤザキ工業㈱ 富士市
㈱リコー 東京都中央区
静岡県ファルマバレープロジェクト説明資料

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