AOI-PARC

オープンイノベーションにより新しい価値を創造する拠点 静岡県先端農業プロジェクト拠点「AOI-PARC」(2)

オープンイノベーションへの取り組み

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企業・大学10社が入居、AOI機構が研究成果を農家・企業へ橋渡し

AOI-PARCはAOIプロジェクトの中で研究機関の中核、ビジネス支援の中核と位置付けられている。研究機関としての機能は、同センターに入居する静岡県農林技術研究所、慶應義塾大学、理化学研究所が担う。出てきた研究成果を企業に橋渡しするビジネス支援機能は2017年4月に設立されたAOI機構が担う。同機構は、そのためのプラットフォームとしてAOIフォーラムという会員制組織を運営している。現在、AOIフォーラムの会員数は約100社である。「AOI機構は同フォーラムを活用し、開発された新たな品種を生産に結びつける農業法人や、生産された作物を加工して新しい商品開発を行う企業、人の体にいい成分を抽出して医薬品の開発に結びつける企業、食生活の改善レシピに結びつけるヘルスケア企業など、様々な分野へプロジェクトの成果を橋渡しする。そのため農業の専門家、金融機関出身者の2人のコーディネーターと、民間企業から派遣のプロデューサーの3人によりマッチング等を支援する体制をとっている」(岩城氏)。

AOI-PARCには、地方創生推進交付金を活用してリノベーションした研究室があり、そこに研究に必要な実験装置が整備されている。例えば30万通りの環境条件を設定できるパラメータフル制御式栽培装置が10台設置されている。同装置を使えば、最適な育苗環境の追究が可能になる。このほかにも調光可能な完全閉鎖型栽培室である栽培ユニット(図3)や、環境条件と植物の機能性との関係を解明するための超臨界流体クロマトグラフ質量分析計、ハイパースペクトラムカメラ、光合成測定装置等が揃えられている。

図3●研究を支える次世代栽培実験装置

図3●研究を支える次世代栽培実験装置

現在、公募によってAOI-PARCに入居することが決まった企業・大学は10社である(図4)。うち7社はラボタイプの貸研究室を利用して生産技術の研究を、2社・1大学はオフィスタイプの貸研究室を利用してビジネス支援を展開する。前者の例では、富士フイルム富士宮工場が植物工場における根菜の効率的生産技術の開発を行う。また、小型産業用ロボットを製造・販売するアイエイアイは有機液肥を用いて育苗されたトマト大苗の定植後育成評価を、富士通とオリックス、増田採種場の3社が共同運営するスマートアグリカルチャー磐田はマーケットイン型高機能作物開発による地域ブランドの創造を研究テーマとしている。後者の例では、NECソリューションイノベータがAIシステムを核とした農芸品の栽培技術開発・継承事業の推進を、東海大学が農学部・海洋学部の技術シーズの提供および事業者とのマッチングを行う。

このほか、入居はしないが、5社がAOI-PARCの実験設備を利用したり、静岡県農林技術研究所等と共同研究する。例えば静岡ガスはガスから生産される熱、電気、CO2を温室内などで有効活用するトリジェネレーションの研究を行う。CREAFARMは地域にあったオリーブの栽培方法を研究する。

図4●AOI-PARCの入居者とその研究テーマ

図4●AOI-PARCの入居者とその研究テーマ

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