ナカダ産業

海岸、河川を護るロックユニットを開発、公共工事で普及へ(2)

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消波ブロックの下に袋型やマット形状の大型繊維ネットを設置し洗掘・吸出しを防止

ナカダ産業が製造・普及に取り組む海岸用ネットは、再生ポリエステル繊維を使用したラッセル網地が使用されている。同ユニットタイプには1t、2t、3t、4t(充填材の岩の大きさ50mm)、8t(充填材の岩の大きさ150mm)の石が中詰めされる。そのため繊維ネットにはその重量に耐える構造特性、強さ、耐久性、耐燃焼性が求められる。繊維ネットの構成は最大20万dtex、親指程の太さを有し引張強度は4,000Nにも達する。土木構造物の耐用年数30年間相当の紫外線照射試験も実施している。

「E-ユニットの容量は最大5.3m3(重量約8tに相当)である。5年ほど前には、このような大型の網を編める編網機は日本に3台しかなかった。そのうち2台を弊社が保有していた(図2)。当時、袋の形状や編み方を相当研究した。その結果、辿り着いたのがいまの形状、編み方である。巾着状の網に中詰め材となる石の固定方法を工夫し、繊維ネットの摩耗原因となる、中詰め材の動きやネットの緩みをなくすことに成功した。他社品に無い優位性を持った製品のため、社内公募を行い”ロックユニット”を製品名とし今後の主力製品と期待している*1」と、蓑川氏は当時を振り返る。

ロックユニットはコンクリートブロックよりも安く、素早い設置が可能だが、強度に関してはブロックの方が高い。しかし「離岸堤や突堤に消波ブロックを設置すると、台風などによる激しい波で消波ブロックが置かれた下部の砂利が吸い出され、消波ブロックが徐々に沈下していく。そうした現象を防止するため、コンクリート構造物の下部に吸出し防止を目的に中詰め材を充填した大型袋状繊維ネットを敷き詰めることが増えている。中詰め材が動かない構造に特化したロックユニットは使用目的に対する優位性が高い」と蓑川氏は言う。

図2●ナカダ産業が保有する大型の網を編める編網機

図2●ナカダ産業が保有する大型の網を編める編網機

土木研究センターと共同でセル型グラベルマットを開発へ

海用大型袋体ネットの売上拡大が見えつつある中、ナカダ産業は次の製品開発を進めている。それが土木研究センターと共同で開発したセル型グラベルマットである(図3)。セル型グラベルマットは、繊維ネットで構成された四角柱または三角柱のセルに砕石を充填し、相互に連接してマット構造としたものである。大きさは洗掘防止用グラベルマットで幅2m×長さ10m×高さ0.25m。ロックユニットと比較し、礫海岸の海底に敷設することで砂利の吸出し防止や洗掘防止に特化している。セル型グラベルマットは、人工リーフ、潜堤、突堤、直立護岸、離岸堤などの沈下変形対策として有効である。現在、静岡県の富士海岸や宮崎県、三重県の海岸などで試験的な敷設が進められている。その成果の一部は、2015年11月の土木学会第62回海岸工学講演会で発表された。

図3●吸出し防止や洗掘防止効に効果を発揮するセル型グラベルマット(上)と施工現場(下)

図3●吸出し防止や洗掘防止効に効果を発揮するセル型グラベルマット(上)と施工現場(下)

ナカダ産業は漁網の製造からスタートし、陸上ネットの製造へと事業を転換してきた。同社は次の成長市場として再び海との関わりを持ち始めた。同社常務取締役営業本部長の蓑川氏は、「昨年に比べて護岸用繊維ネットの受注予定は倍増している。公共事業に依存するビジネスなのではっきりした計画をたてることは難しいものの、今後3年間は同分野では年率5割程度の成長を期待したい」と、同事業にかける思いを語る。現在、港などでコンクリート製の消波ブロックが堤防を護る風景をよく見かける。ロックユニットやセル型グラベルマットが普及すれば、今後、そうした風景も変わるかも知れない。

1:ロックユニットとしての構造や規格が確定したのは2016年

スーパーE-ユニット/セル型グランベルマットの
仕様・製造方法、施工方法

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