井上機工

経済産業省から「地域未来牽引企業」に選定される

企業紹介

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井上機工(静岡県富士宮市)は従業員数200人の配管加工会社である。三菱電機静岡製作所向けのルームエアコン用銅配管加工を手掛ける同社は事業拡大に向けて、銅管の内面に凹凸形状を形成するローレット加工(図1)や、ろう付けによる「漏れ」と「詰まり」不良の同時検出に関する技術(図2)を開発した。また同社は2017年12月22日に経済産業省から「地域未来牽引企業」に選定されている(図3)。

2015年4月に32歳の若さで取締役社長となった佐野勝俊氏は「当社の課題は二つある」と言う。「一つは材料比率が非常に高く利幅が少ないこと、二つ目が1社への依存度が高いことである。この二つの課題を解決するには新規事業の開拓が不可欠である」と同氏は語る。そのための大きな推進力になるのが、これまでに開発してきた、いくつかの配管加工技術である。

  • 図1●銅管内面の溝付加工技術

    図1●銅管内面の溝付加工技術

  • 図2●気密部品の欠陥検査装置

    図2●気密部品の欠陥検査装置

エアコンの脈動音を特許取得技術で解決していきたい

図3●経済産業省から地域未来牽引企業に選定

図3●経済産業省から地域未来牽引企業に選定

ローレット加工とは、加工したい形状と同じ模様を持つコマやロールを金属材料に押し当てて、その模様を転写する加工技術である。銅管の内面にローレット加工を施すことにより、銅管内部と外部の熱交換効率を高めることが可能になる。同技術は列車用沸騰冷却管に使用されることが模索されている。同社は、ローレット加工に関する技術で特許を取得している。

井上機工は、銅管のローレット加工をエアコンなどに搭載される圧縮機から発生する音を消すのに利用する検討も進めている。「エアコンの圧縮機からは振動音と脈動音が発生する。エアコン・メーカーでは特に脈動音の対策に苦慮しており、その解決策として銅管のローレット加工を利用できないか」と、井上機工で技術開発を担当する取締役技術部長の藤澤尚朗氏は期待をかける。

このほか、井上機工は気密部品の欠陥検査装置も開発した。従来の検査装置ではろう付け不具合による「漏れ」不良と、ろう材が配管内に過剰に流れ込み発生する「詰まり」不良を同時に検査するのは難しかった。開発した装置は、ピストンやシリンダ、センサ、表示装置等で構成される。同装置は次のように動作する。装置内のシリンダと直結したホースを被検査物に密着させ、シリンダ内のピストンを所定の量だけ移動し、シリンダと被検査物内部を減圧する。減圧された内部圧力をセンサで計測し、あらかじめ設定された基準値と比較して漏れや詰まりを判定する。通常使用される真空ポンプを利用しないため、低コストで漏れと詰まりを検出できる。同社はこの技術に関する特許も保有する。

  • 井上機工㈱取締役社長の佐野勝俊氏

    井上機工㈱取締役社長の佐野勝俊氏

  • 井上機工㈱取締役技術部長の藤澤尚朗氏

    井上機工㈱取締役技術部長の藤澤尚朗氏

井上機工(株)会社パンフレット

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