橋本エンジニアリング

マグネシウムを採用し世界最軽量級のアクティブ系車イスを開発(2)

企業紹介

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現会長で父親の橋本公一氏が「橋本部品製作所」として1968年に創業した同社の経営を橋本裕司氏が引き継いだのは、2009年1月。米国に端を発した「リーマンショック」の影響が拡大し、日本でも経済の悪化が深刻な社会問題となっていた頃である。2009年6月には売上高が前年比70%以上も減少、同社は危機的な状況に陥る。メインバンクから「このままだと潰れますよ」と言われ、雇用維持か会社の存続を掛けての大幅リストラかという究極の選択を迫られた橋本社長は、最終的に会社の存続を選択しリストラを決断、難局を乗り切った。「会社が潰れたら全社員が職を失う。リストラを実行すれば会社は生き残れる可能性があった。会社が存続して復活したら、リストラに協力してくれた人を取り戻せる。そういう思いで決断した」と、橋本社長は当時を振り返る。経営危機の教訓から、橋本社長は「20年後も30年後も生き抜く」ための5つの経営方針を2009年に策定した。方針を具現化し、メーカーとなるべく開発して市場投入した製品が、アクティブ系車イス「MC-X」だった。

鋳造の生産性を劇的に改善する長寿命チタン製アルミ鋳造用器具「DTi」

メーカーとしての取り組みで同社が開発した製品がもう一つある。アルミ鋳造における課題解決のため、チタンを採用して開発した鋳造器具「DTi」である(図2)。従来、アルミ鋳造では高温の溶融アルミを取り扱うラドル(ひしゃく状の器具)やカス取りなどの器具の材料として鋳鉄を用いる。しかし、溶融アルミが鋳鉄を酸化により溶かしてしまうため、一般的な鋳鉄製の器具では日々のメンテナンスを行っても約3カ月で溶損しダメになる。既製品では少しでも長持ちするようセラミックをコーティングしているが、通常1日で効果がなくなる。また、付着したアルミを手作業で取り除いたうえで、再度コーティングする作業を毎日続ける必要があるという。そこで対浸食性に優れかつ軽量なチタンを採用するとともに、面倒なセラミックのコーティングを必要としない画期的な表面処理技術を開発することに成功した。

図2●アルミ鋳造で生産性を大幅に改善可能とする「DTi」のカス取り

図2●アルミ鋳造で生産性を大幅に改善可能とする「DTi」のカス取り

「DTiのラドルなら、ノーメンテナンスでも半年はもつ。カス取りなら約1年、ノーメンテナンスで使用可能。人件費の大幅削減とアルミ鋳造の生産性を飛躍的に改善できる」(橋本社長)と自信を示す。 DTiのことを見込み顧客となる企業に伝えても半信半疑ですぐには信用してもらえないため、試供品を1本提供してまずは利用してもらう。本格的に売り出したのは2018年11月からだが、効果を確認できた企業からは、すぐに注文が来るという。従来の鋳鉄製ラドルの再生やメンテナンスの事業を手がけていたため、同社はDTiの製品化に至ったという経緯がある。開発に10年もの歳月を費やしたDTiでは今後、ラインアップをさらに増やしていくとしている。

橋本エンジニアリング(株)事業説明資料

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